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金沢大学附属病院 精神科 私の抱負 三邉教授

平成三十年度 巻頭言


同窓会会長・金沢大学教授 三邉義雄


同窓会会員の皆様にはいよいよご清栄、ご健勝のこととお慶び申し上げます。
平成29年度は、私が金沢大学に教官としてお世話になりまして、12年目の年でございました。平成30年度は私の在職最後の年でして、平成31年4月1日からの遺漏なき主任教授職継承の為、平成30年の4月早々から次期教授選考も開始されます。幸い、私は業務上や健康上などの大きな問題もなく、ここまでやってこられました。会員の皆様の、平素の御助力御支援に対し、誌上にて改めて心よりお礼申し上げます。主任教授の最大の務めとしては、主に臨床のための人材と主に研究のための資金の獲得、さらにそれらに支えられた医学教育の充実であることを引き続き肝に銘じ、定年までの残り1年間を一層精進致したいと思います。最近の大学は勤務に対する評価体系が確立されてきており、その個人評価結果によって報酬に差が出る方向で、文科省の指導もあるようです。実際、研究資金を多く取得した教官には、その一部が還元されるようになりました。これは、本人の勤労意欲の向上と共に優秀教官のヘッドハント防止の意味があるようですが、要するに米国方式の導入です。米国方式の導入は、皆様御存知のように我が国の社会体制のほぼ全てにみられ、医学医療界も例外ではありません。最近進展がみられた卒後教育の整備に続き、今後2年を目途に、医学部卒前教育の大改編が始まります。従来の、座学・知識教育から実習・実践教育の流れがさらに加速し、患者数が多い重要診療科6つ(内科、外科、精神科、総合診療科、産婦人科、小児科)の実習時間大幅増加の方向も示されています。これらは、国際化=米国型の医学教育の導入、と聞いております。


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さて、最終年度を残しておりますが、この機会に私の自己評価を敢えて公開し皆様の御付託に委ねたいと思います。まず、人材獲得ですが、その指標は入局者数に主に反映されます。この十年間の入局者数は40名で、年平均4名という数字が出ております。私は、赴任当初から、地域医療の維持のために年平均5名の入局を目標としたいと、医局でも公言しておりました。評価は目標を大きくはないが下回ったので、金沢大学にならいS・A・B・C評価にすると、B評価になります。つまり、目標とする結果に及ばなかった、という解釈です。一方、研究資金獲得ですが、結論的にはS評価と自負しています(目標とする結果を超えた)。その最大の要因は、私の赴任と相前後してできた、金沢大学子どものこころの発達研究センター(以下センターと略す)+5大学連合大学院小児発達学研究科の存在でしょう。現在は、同様のセンターが全国の7大学に併設され、まさに多施設共同研究の良い土壌になっております。私が院生の頃は臨床と研究の両立をむしろ楽しんでいたのですが、最近は臨床・研究ともその業務量が増加し、可能なら時間的に臨床業務と研究業務に集中する時期を別にする必要が出てきました。比較的研究に時間がさけるセンターにより、優れた研究業績産出と大型資金を核とする研究資金獲得の良い循環作用が、この10年間切れ目なく継続できたと思います。その結果、精神科関連研究に、毎年1億5千万から2億5千万の研究費を投入できることができました。その半分以上は人件費ですが、非常にときめくことに、研究スタッフや共同研究者の背景は医学、脳科学、工学、教育学、心理学、数学、芸術、企業、海外と非常に多岐に広がっております。精神医学や脳科学関連研究が、「人間とは何か、人間らしさとは何か」、「なぜ子どもは、人間らしくなるのか」という根源的命題と関連していることが、その最大の理由と思います。また、長寿社会になり、「長く生きること以上に充実して生きる」ことへの国民の期待が高まっていることも一因です。その結果、その期待に沿う社会実装を目指し、精神医学や脳科学関連研究に企業からの投資が増えたと認識しています。また、就学前の子ども関係の研究内容のためか、自ら子育て中の女性研究者が多いのも特徴です。大学でも、男性研究者への逆差別ではないかと思うほど(笑い)、女性研究者の優遇対応が増えてきました。

とにかく、挙子育児の問題が21世紀の我が国の最重要案件であることは間違いなく、臨床・研究・教育サイド(医療では、特に患者さんが若い、産科、小児科、精神科)でも今後の社会投資増大に引き続き備えるべきでしょう。今後はITやAIなどの進展で社会構造変化が加速し、たとえば「金沢大学」や「精神医学」や「精神病院」という従来旧来の概念と実体が、大きく変化する予感もしています。また気になるのは、社会全体に広がる格差問題です。これは古今東西の永遠のテーマですが、「世界での経済格差」、「東京と地方」、「金沢と能登」など、精神科領域でもとても悩ましい問題です。一方、何事も平等という考えも無理があるので、結局「その時代、その地域にあったバランス感覚と、それによる合意形成」が、落としどころでしょうか?

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最後に、会員の皆様の一層の御活躍御健勝をお祈り申し上げ、今年度の巻頭言とさせて頂きました。本年も、引き続き、どうぞよろしくお願い申し上げます。





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