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金沢大学附属病院 精神科 私の抱負 三邉教授

平成二十七年度 巻頭言


平成27年度同窓会年報の巻頭言

同窓会会長・金沢大学教授 三邉義雄


同窓会会員の皆様にはいよいよご清栄、ご健勝のこととお慶び申しあげます。平成26年は、私が金沢大学に教官としてお世話になりまして9年目の年でございました。さらに、精神科医局が旧臨床研究棟(本年取り壊し予定)からA棟(旧薬学部棟の改装棟)3階に転居したことは、新しい器での第一歩を記す記念すべき年でした。宝町キャンパスの大リニューアルも、いよいよ大詰めの様でございます。会員の皆様の御助力御支援に対し、誌上にて改めて心よりお礼申しあげます。主任教授の最大の務めとしては、主に臨床のための人材と主に研究のための資金の獲得、さらにそれらに支えられた医学教育の充実であることを引き続き肝に銘じ、定年まで残り4年間を一層精進致したいと思います。

我が教室の最大の懸案は、今や明らかに医師不足であり、同窓会の皆様には多大な御迷惑御心配をおかけしている次第でございます。ただこの事は裏返せば、社会からの精神医学・精神科医療への期待需要の増大に我々が追い付けないという図式であり、決して悲観的でなくむしろ喜ばしいこととも感じております。
近代精神医学はようやく19世紀末期に欧米で確立され、いわゆる科学的医療の仲間入りを達成しましたが、その後の現在に至るまでの約150年は無理解・偏見・卑下との戦いの歴史でありました。精神科の基幹病院といえば、立地的孤立・単科・多ベッドが特徴で、まさに当時国民的難病と嫌われた結核などの致死性伝染病と同等の扱いでありました。この間、多くの問題・困難が精神医学・医療に重なりました。その一つが、精神医学・医療が変貌してきているのに、精神科の基幹病院を始めとする診療体制の枠組みが立地的孤立・単科・多ベッドの旧態依然とした状況を、未だ十分脱していないことであると考えております。変革とはいかないまでもそれなりに精神科医療が進歩し、社会の無理解・偏見・卑下が緩和しつつあり、さらに高齢化で身体合併症対応が精神科医療現場の特に医師が担う最大の課題になりつつあります。
まさに、21世紀の精神科医療は総合医療への組み込み、言葉を換えれば『“立地的孤立・単科・多ベッド”からの脱却』が最大の課題であると考えます。いずれにせよ、21世紀になり脳科学・精神医学が社会から最も注目を集める話題の一つになった背景を追い風にして、北陸の精神科医療をもっと魅力的で充実したものとし、若い有為な医師の獲得を同窓会一丸で目指したいと思います。

研究面においては、これまでも機会をみて紹介させて頂きましたが、国からのいくつかの大型委託研究費を背景にした児童精神医学診療の充実、国内での研究拠点化があります。その基幹組織である、金沢大学子どものこころの発達研究センターはがん研究所のような全学の組織ですが、宝町キャンパスD棟(旧がん研改修棟)4階に昨年新居を構えました。私がセンター長を務める他精神科医がその中核を占め、さらなる発展が期待されます。
さらに文科省の昨年の最新調査によると、過去5年の精神医学領域の科学研究費獲得数において、金沢大学が第6位に入ったことは特筆すべきことでした。上位には、浜松医大、阪大、理研、精神神経医療センター、東大、などそうそうたる有力組織が入っていますが、私の前任地である浜松医大が断トツのトップ評価であったことは、母校のこと以上に喜ばしいことでした。浜松医大精神科は新設医大ですが、森則夫教授の卓越した指導能力と東海道筋と言う地の利を得て、幅広い地域からの人材確保の他、多大学連携研究教育事業や地元有力企業との産学連携にも大きな成功を収めています。研究面においての私の目標は、母校に赴任以来一貫して前任地の浜松医大精神科でありますが、10年近くかかりようやくその後ろ姿を捉えることができたと思っております。

金沢大学全体としても、非常に厳しい時代に入ってきました。金沢大学は旧帝大に準じる規模の大学として、長年予算規模で全国のトップテンをねらえる位置に置かれてきました。しかし、ここに来て文科省の“選ばれた大学をグローバルランキング上位に押し上げるために、選択的集中投資を行う”方針がより鮮明になり、大学に対する教育・研究評価の厳しさが加速しております。特に、競争的大型研究費の獲得の有無が、評価を左右するようです(大学病院に限れば、新薬や新技術の医師主導型臨床研究が重要で、従来の製薬会社主導研究はあまり評価されないようです)。最近の文科省の研究力調査では、何と金沢大学の評価は国内で30位半ばという低迷ぶりであったのですが、やはり大型研究費の低採択率が最大のネックだったようです。このことの克服が山崎新学長体制の最大の課題であることは、マスコミ等で既に報道されている通りです。しかし、活気ある大学作りには、活気あるその背景地域の存在が絶対必要で、大学関係者だけでなく地域全体の努力精進が必要と痛感しております。伝統・文化と四季おりおりの美しい自然に加え、今年は東京への新幹線開業で一段と注目される金沢エリアですが、それに安住することなく将来へのさらなる発展への模索が求められていると感じております。

最後に、会員の皆様の一層の御活躍御健勝をお祈り申し上げ、今年の巻頭言とさせて頂きました。本年も、引き続き、どうぞよろしくお願い申し上げます。





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