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金沢大学附属病院 精神科 私の抱負 三邉教授

平成二十四年度 巻頭言


平成24年同窓会年報の巻頭言   

                                  同窓会会長・金沢大学教授 三邉義雄

同窓会会員の皆様にはいよいよご清栄、ご健勝のこととお慶び申しあげます。平成23年は、私が金沢大学にお世話になりまして6年目の年でございました。会員の皆様のご助力ご支援に対し、誌上にて改めて心よりお礼申しあげます。主任教授の務めとして、主に臨床のための人材と主に研究のための資金の獲得、さらにそれらに支えられた医学教育の充実であることを常に肝に銘じ、引き続き精進致したいと思います。

以下は今年の十全会同窓会報に掲載された教室の紹介記事でございます。一部改編し、本年の巻頭言とさせて頂きました。
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脳情報病態学では、三邉義雄教授を始めとし教官10名、医員5名、博士研究員2名、秘書及び研究補助員8名の体制で、日々の臨床、教育、研究業務を行っておりそれぞれについて報告させていただきます。

(臨床)
外来診療では、年間延べ患者数は平成22年度で29,401人と全診療科でもっとも多く、新外来患者数も535人を数えます。また身体疾患における精神症状への対応は、精神疾患における身体症状への対応と並び、総合病院精神科のリエゾン医療における中核的な業務であり、その件数も多いのが現状です。実際に、初診者数の約3分の1が、他の診療科からの院内紹介であり、入院・外来で治療中の身体疾患における精神症状への対応についての相談に積極的に応じています。病名別内訳では、うつ状態、せん妄、不眠、適応障害、不安障害、物質関連障害、身体表現性障害などの順に多く、ほぼ全ての診療科からの相談に応じています。また、大量服薬などの自殺企図患者も受け入れている上に、石川県の精神科救急にも輪番病院として参加していることから、時間外救急外来患者数も、全診療科で1、2番の多さです。さらに最近は緩和ケアに精神科が中核として参加するなど、他診療科から精神科的対応を積極的に評価する傾向が拡大している状況です。また平成20年4月からは、子どものこころの診療科を併設し診療を開始しています。石川県内はもちろんのこと県外からも、発達障害の疑いのある児童から成人までが、多くの病院・施設・学校などから紹介されるほか、実際に噂を聞きつけて直接来院される患者さんも増えています。

一方病棟業務としては、東2階に7床(神経科)、北病棟1階に開放病棟18床、閉鎖病棟28床の計53床を担当しています。東2階病棟では主に、睡眠時無呼吸症候群や身体合併症を有する神経症の患者を、また北病棟では、統合失調症、気分障害、強迫性障害のみならず、認知症から児童の摂食障害まで幅広く受け入れています。平成20年4月からは精神科身体合併症加算も取得し、身体合併症を有する精神疾患患者の受入も積極的に行っています。平成20年の入院経路としては、予約が53%、時間内救急が23%、時間外救急が15%、ICUからが9%であり、また入院患者全体の43%が何らかの身体合併症を有していました。最近では、発達障害の疑いのある患者さんの検査目的での入院も増えています。

(教育)
医学生教育では、まず医学類4年生に対して神経精神医学の系統講義を担当しており、例年学外からの講師も招聘し、精神医学の幅広い知識を得られる内容を心がけています。また、5年生に対するベッドサイドラーニングでは精神医学的面接や診断の実習指導を行い、6年生に対するクリニカルクラークシップでは各学生の担当医がマンツーマンで日常臨床の中で指導を行っています。初期臨床研修では、精神科は必須科目ではないものの、「統合失調症」、「気分障害」、「認知症」が経験を求められる疾患としてあげられており、多くの初期研修医が当科をローテートしています。研修医の方々には、代表的な精神疾患の診断、基本的な薬物療法の習得、精神療法について学習などの目標に加え、関連病院にも協力をあおぎ、精神科救急、司法精神医療、精神科リハビリテーションについても学べるプログラムとしております。症例検討会、脳波勉強会、行動療法カンファレンスなどは随時行い、また月に1回、神経内科および脳外科と合同で臨床神経セミナーも実施しております。最後に、脳情報病態学教室の大学院生として、松原拓郎先生が統合失調症の死後脳解析を橋本の指導の下、廣澤徹先生がオキシトシンによる脳機能調節の脳画像解析を子供のこころ発達教育センターの菊知准教授の指導の下に行っています。

(研究)
1) 発達障害、2) 薬物依存と気分障害、3) 統合失調症の3つの分野についての研究が行われています。発達障害の研究では、三邉教授を中心に、子供のこころ発達研究センターの棟居教授と菊知准教授との共同で、自閉症の早期診断と新規治療法の開発を目指した研究が行われています。具体的には、発達期の脳内神経回路の形成とその自閉症における変化を脳磁図を用いて解明しており、世界初の幼児専用脳磁計を使用した研究は、世界的にも注目を集めており結果は既に一流誌に掲載されています。また、自閉症に対する新規治療法として、オキシトシンの経鼻粘膜投与の臨床応用の研究も始まっており、臨床症状の劇的な改善が期待されると同時に、脳機能の改善についても画像研究から興味深い知見が期待されています。子どものこころの研究は、これまで5つの大型研究費に支えられて、年間2億円を超す研究費が投入される金沢大学を代表する研究課題になりました。今年から新たに国家基幹研究事業・脳科学研究戦略推進プログラム自閉症研究拠点(代表・東田陽博特任教授、全国で4か所が選定)と子どものこころの発達研究センターの一般財源化(時限施設から恒久施設への昇格)が加わり、さらに今後の発展が期待されます。

薬物依存と気分障害の研究は、戸田講師を中心に井口助教と小杉研究員により進められています。研究には、薬物依存やストレスの動物モデルが用いられ、依存やうつ病に共通して関わる報酬系の側坐核に着目し、シナプス伝達を司る分子の発現や機能の変化についての研究が行われています。最近では、ストレスにより側坐核のニューロンに酸化ストレスが生じ、それによりシナプス伝達を司る様々な蛋白質の発現や分布に変化が生じることが判明し、病態理解や治療法開発の糸口になることが期待されます。

統合失調症については、その最大の問題である認知機能障害のメカニズムとして大脳皮質GABA作動性介在ニューロンの変化についての研究が、橋本、Georgiev研究員、松原大学院生、小西技術補佐員により行われており、介在ニューロンに特異的でその機能に重要な役割をもつ遺伝子の発現を統合失調症と対照例の死後脳組織を用い解析しています。この研究は、ピッツバーグ大学精神医学部門のDavid Lewis教授との共同研究として行われています。





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