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金沢大学附属病院 精神科 私の抱負 三邉教授

教室開講100周年記念式典のご挨拶


 平素は同窓会会員の皆様には大変お世話になっております。また本日はご多忙中にもかかわらず、多数の会員の方に記念式典にご参加頂き誠にありがとうございました。さらに金沢大学から中村信一学長にご列席・ご祝辞を賜ることができました。改めまして心よりお礼申し上げます。
 皆様ご存知のように、約100年前に欧州において近代精神医学の礎が築かれました。教室がまさに近代精神医学の発展とともに歩んできた歴史は、何事にも替えがたい貴重な事実と考えております。

さて私が金沢大学にお世話になり、この11月で丁度丸3年が過ぎようとしております。3年前に約25年ぶりに教室の一員として勤務させて頂いてその伝統の重さを改めて知ったのは、大学病院およびその関連病院の臨床レベルの高さでした。
まず感銘を受けたことは大学病院、特に精神科病棟のすばらしさでございます。単独型であらゆる患者さんに対応できるゆとりある構造は他大学の見学者が一様に驚嘆し、さらにこのような病棟は大学病院で空前絶後であろう、という感想も繰り返し頂きました。大学病院はご覧頂いたように今年外来も新築開業し、さらにすばらしい機能を発揮しております。
関連病院では、私が重要視する総合病院精神科の充実振りが最も印象に残りました。金沢大学と最もご縁の深い石川県と富山県西部、背景人口約150万の地域に2つの大学病院を含め8つの総合病院精神科があり、そこに約300床のベッドが稼動しております。私の以前の勤務地でありました埼玉県は背景人口約800万で、総合病院精神科はわずか2つのみと聞いております。その格差の大きさに、改めて驚いた次第でございます。
まさに教室の伝統の力は、地域における人口当たりの医師数に反映されております。しかし、本日の後の日程でご相談の時間を設けさせて頂きましたように、最近の医師不足が今後も続けば、せっかくの伝統の恩恵を使い切ってしまうことになりかねません。良き伝統を継承する決意を、本日会員の皆様と改めて新たにしたいと思います。

さて、研究は臨床とともに教室の両輪と考えております。なぜなら良き医学教育は、良き臨床と良き研究の上に自然に成り立つものと考えるからでございます。臨床が伝統に直接支えられた要素が大きい一方、研究はやや異なる面があると私は考えております。
最近の研究業績の評価はインパクトファクターという、いわば国際評価基準で主に行われております。これに対する批判もありますが、私は非常に前向きに考えております。インパクトファクターが出現する前は業績に明確な評価基準がなく、不透明なところも多々ありました。現在は評価により公平さが加わり、伝統がない大学もがんばれば、研究費配分などで相応の評価が与えられると感じております。
しかし一方、大型研究費の採択などは旧帝大志向がさらに加速している、とも感じております。地方大学としては中央からの研究費配分に頼るだけでなく、地元企業との産学連携などの草の根の研究志向が今後益々重要になると考えております。ここでは現在の大学の力のみが評価され、伝統はあまり影響を与えません。私の前任地の浜松医科大学はまさにこの良い例でございましたが、伝統校と言われる金沢大学においても、この伝統を越えた新しい研究志向がいよいよ最大の課題になってきたと感じております。

21世紀は教室の良き伝統を礎にし、同時にその伝統にとらわれない新しい教室のあり方が問われる時代であると、確信しております。同窓会会員の皆様には引き続きのご指導、ご鞭撻をお願いして、私のご挨拶とさせて頂きます。





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